年末が近づくと、「年賀状、今年はどうしよう…」と、ふと手が止まることはありませんか?
「親しい友人とはLINEやSNSでいつでも繋がっているし、今さら年賀状というのも…」と思う反面、「ご無沙汰している恩師や、遠方の親戚には、やはり礼儀としてお送りするべき?」と悩んでしまいます。
一方で、私の親世代からは「もう年賀状を一枚一枚かくのが大変で…」という、「終活」にともなう声も聞こえてくるようになりました。
「やめたい」けれど、いきなりやめてしまうのは「失礼にあたるのではないか?」「このまま関係が切れてしまうのでは?」と、不安になってしまいますよね。
この記事でご紹介する「年賀状じまい」は、人間関係を切ってしまうための冷たいものではありません。
むしろ、「これまでの感謝をしっかり伝え、大切なご縁をこれからも心地よく繋いでいくため」の、前向きで【やさしい】新しいマナーです。
この記事は、単なるマナーの解説ではありません。仕事柄申し訳ない…」という罪悪感や不安を、スッキリと解消するための「具体的な処方箋」としてお読みいただければ幸いです。
この記事(基本編)でわかること
- 年賀状じまいとは何か、その意味
- 「自然消滅」との決定的な違い
- 年賀状じまいが広まっている3つの理由

年賀状じまいとは?「自然消滅」との大きな違い
まず、「年賀状じまい」とは何でしょうか。
「年賀状じまい」とは、翌年以降、年賀状でのご挨拶をやめさせていただくことを、「最後の年賀状(または挨拶状)で、感謝を込めて事前にお知らせする」丁寧なご挨拶のことです。
ご高齢の方が「終活」の一環として行う場合は、「終活年賀状」と呼ばれることもあります。
では、何も言わずにやめてしまう「自然消滅」とは、何が違うのでしょうか。 その最大の違いは、「相手への配慮」があるかどうか、です。
ある調査では、年賀状をやめた人のうち、「年賀状じまい(=最後の挨拶)」を【していない】(つまり自然消滅)と答えた人は、**約72%**にも上るというデータがあります。
多くの方が、「なんとなく」やめてしまっているのが現実です。
でも、あなたが今こうしてこの記事を読んでくださっている時点で、あなたは「なんとなくやめる」ことに罪悪感や不安を感じている、とてもマナーを大切にする、誠実な方なのだと思います。
「じまい(仕舞い)」という言葉には、単に「終わる」という意味だけではなく、物事をきちんと「締めくくる」という、日本らしい美しい意味が込められています。
いきなり連絡を絶ち、相手に「何かあったのでは?」と心配をかけてしまう「自然消滅」とは違い、年賀状じまいは「これまでのご縁への感謝の総仕上げ」です。
決して「あなたとの関係を終わりにします」という「絶縁宣言」ではありませんので、安心してくださいね。
なぜ?年賀状じまいが広まっている3つの理由
それでは、なぜ今、年賀状じまいがこれほど広がっているのでしょうか。
それは単に「面倒だから」という理由だけではなく、世代ごとに「前向きなライフスタイルの見直し」が背景にあるからです。
大きく分けて、「終活」「人生の節目」「連絡手段の変化」の3つを見ていきましょう。
理由1:【60代〜】終活(しゅうかつ)の一環として
最も多い理由のひとつが、「終活(人生の終わりのための活動)」の一環として、身の回りを整理する(生前整理)ために年賀状じまいを選ぶケースです。
日頃、さまざまなお客様とお話しする中でも、ご高齢の方から「終活でいろいろと整理していてね」というお話をよく伺います。
「万が一のことがあった時、自分が亡くなったことを知らない方へ、家族が対応に困らないように」「体力的に、年賀状をかくために筆をとるのが難しくなってきて」
これは、ご本人やご家族のことを考えた、とても自然で、社会的に最も受け入れられやすい理由のひとつです。
理由2:【40代〜60代】人生の節目(ライフイベント)
終活よりもう少し手前の、現役世代に近い層でも、人生の「区切り」が大きな理由となっています。
- 定年退職 会社を退職するタイミングは、特にこれまで仕事上のお付き合いで年賀状を送っていた相手への、大きな区切りとなります。
- 還暦(60歳)や古希(70歳)などの「祝い年」 「この節目を機に」と伝えることで、おめでたい報告とあわせて、相手も納得しやすいタイミングです。
私(こよみ)がご相談を受ける40代、50代の働き盛りの世代でも、転職や、お子様の独立・ご結婚などを機に、「お付き合いの範囲」を見直す方は多くいらっしゃいます。 特に定年退職は、「ビジネス関係」と「プライベート」のお付き合いを整理する、最大のきっかけになっているようです。
理由3:【20代〜40代】時代の変化と連絡手段の多様化
そして、私(40代)以下の世代では、この理由が最も大きいかもしれません。
- SNS・メールへの移行 LINEやメール、SNSが主な連絡手段となり、あえて年賀状で新年の挨拶をすることにこだわらなくなりました。
- 負担とコストの削減 正直なところ、「準備の時間や手間、費用が負担」、「義理で続けていた」という現実的な理由もあります。
実際、年賀状文化の簡略化に「賛成」する人は約8割にものぼり、その理由は「手間・コストの削減」や「面倒な気遣いからの解放」です。 これは決して「冷たい」わけではなく、現代の暮らしに合わせた「合理的」な選択として、社会に受け入れられつつある証拠です。
私自身、親しい友人とはSNSで毎日のように繋がっています。その相手に、改めて「あけましておめでとう」と年賀状をお送りしない気持ちは、とてもよくわかります。
大切なのは「形」よりも「気持ち」。 年賀状という形にこだわらなくても、メールやSNSで心のこもった新年のメッセージを送りあうほうが、かえって温かいやり取りができる場合もありますよね。
まとめ(基本編):年賀状じまいは「感謝」を伝える前向きな選択
ここまで、「年賀状じまいとは何か」という基本的な意味と、「なぜ増えているのか」という3つの理由について見てきました。
- 年賀状じまいとは、感謝を込めて事前にお知らせする「丁寧なご挨拶」であること。
- いきなりやめる**「自然消滅」**とは違い、相手を心配させないための「配慮」であること。
- 理由は「終活」や「定年」といった節目だけでなく、「SNSへの移行」など現代のライフスタイルに合わせた前向きな見直しであること。
「年賀状じまい」が、決して冷たいものでも、失礼なものでもない、ということがお分かりいただけたかと思います。
とはいえ、いざ自分がやるとなると、 「具体的に、どう書けば失礼にならないの?」 「いつ、どんな方法で伝えればいいの?」 と、実践的なマナーや文面が一番気になりますよね。
そんなあなたの「どうしよう」を「こうすれば大丈夫!」に変えるため、次の【実践編】の記事で、失敗しないための具体的な方法を徹底的に解説しています。
▼【実践編】の記事はこちら
『【文例集】失礼にならない年賀状じまいのマナー5カ条|タイミングと「やめた後のつながり方」』
- 失礼にならないための「マナー5カ条」
- 送る「ベストタイミング」と伝え方
- そのまま使える「理由・相手別の文例集」
- やめた後の「つながり方」(Q&A)
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