「毎年、なんとなく義理で出している年賀状。正直、ちょっと負担に感じていませんか?」
郵便料金の値上げ、年末の忙しさ、人間関係の変化――。 年賀状を続けるハードルは、年々上がっています。
こんにちは、こよみです。 元銀行員の私ですが、実は現役時代から「形式だけの年賀状」には疑問を持っていました。
これまで多くの「お金と人付き合い」に向き合ってきて感じたこと。 それは、**「形式だけで続いている習慣ほど、家計も心も静かに消耗させる」**ということです。
年賀状じまいは、単なる「やめます宣言」ではありません。 限られたお金と時間を、本当に大切な人との関係に使うための**前向きな“暮らしの整理”**です。
この記事では、以下のポイントを徹底解説します。
- 元銀行員の視点から見た「年賀状のコスト感」
- 誰に出して誰にやめる?人間関係の「仕分け術」
- 相手に失礼にならないマナーと文例集(状況別)

年賀状じまいの経済効果|値上げ時代の「交際費」見直し戦略
マナーのお話に入る前に、少しだけお金の話をさせてください。 仮に、年賀状を100枚出すとします。
- はがき代: 8,500円
- 印刷代・準備の手間: 数千円〜数万円
これらを合計すると、**実質2〜3万円相当のコスト**がかかっている計算になります。
金融実務の現場では、お金を**「生き金(意味のあるお金)」と「死に金(惰性のお金)」**に分けて考えることが基本です。
惰性で出す年賀状をやめ、その分のお金と時間で**「久しぶりに会いたい人と食事をする」**。 これは単なる節約ではなく、お金の使い方を“自分軸”に戻す、立派な投資行動です。
<コラム>年賀状をやめたお金を「投資」に回したら?
元銀行員として、あえてシビアな計算をしてみましょう。 もし、毎年かかっている年賀状コスト(約2万円と仮定)を、これからの20年間、年利4%で積立投資に回したとしたらどうなるでしょうか?
- そのまま年賀状に使った場合: 手元に残るお金は 0円(消費して終わり)
- 投資に回した場合: 20年後には 約60万円 の資産に
たかが年賀状、されど年賀状。 「やめる」という決断は、未来の自分への**「60万円のボーナス」**を作るのと同じ価値があるかもしれません。
参考情報 2024年10月からの郵便料金改定の詳細は、日本郵便の公式サイトで確認できます。手紙・はがき料金の変更|日本郵便
こよみメモ
通常はがきは63円→85円へ値上がりしました。
枚数が多い方ほど、今年は見直しの好機です。
誰に出して誰にやめる?人間関係の「棚卸し」3ステップ
いざ年賀状じまいをしようと思っても、「あの人には出すべき?」「この人は…」と迷って手が止まってしまうことがありますよね。
そんな時は、ビジネスで行う「棚卸し(在庫整理)」のように、関係性を3つのボックスに分けて考えてみるのがコツです。
1. 【今後も大切にしたい人】
家族、親友、現在進行形でお世話になっている恩人。 → 無理にやめず、今後も丁寧に続ける(またはLINE等に移行して頻度を上げる)。
2. 【義理だけの関係】
数年会っていない、顔も思い出せない、正直負担に感じている相手。 → **今回きっぱりと「年賀状じまい」を通知する対象。**お互いのために関係をスリム化します。
3. 【迷う人(保留)】
「やめたいけど、どうしようかな…」と迷う相手。 → 今年は出して、相手から返事が来なければ来年切る「1年猶予ルール」を適用。
冷たく感じるかもしれませんが、人間関係の新陳代謝は心の健康に不可欠です。「今のあなた」にとって大切な人を浮き彫りにするための作業だと割り切りましょう。
【最重要】失礼にならない年賀状じまいのマナー5カ条
整理がついたところで、実際の書き方です。 年賀状じまいが「絶縁宣言」だと思われてしまわないために、必ず押さえておきたいマナーが5つあります。
【マナー1】新年の挨拶と、これまでの感謝を伝える
何よりも大切なことです。いきなり「やめます」という本題から入るのはNGです。
まずは「あけましておめでとうございます」といった新年のご挨拶、そして次に「長年にわたり温かいご挨拶をいただき、ありがとうございました」といった、**これまでの感謝の気持ち**を、文章の一番目立つ場所に書きましょう。
【マナー2】理由は「簡潔」かつ「ポジティブ」に
なぜやめるのか、理由を一言そえます。
- OK例:「時代の変化(ライフスタイル)を考え」「人生の節目を機に」「高齢に伴い」
- NG例:「面倒だから」「お金がかかるから」「体調不良のため」
理由は詳細すぎると言い訳に聞こえます。誰もが「それなら仕方ないね」と納得できる**【簡潔な理由】**がベストです。
【マナー3】「皆様へ」と書き、個人的な拒絶ではないことを示す
これが、角を立てないための最強のキーワードです。
「誠に勝手ながら、**どなた様へも**年賀状を本年限りとさせていただきます」
このように書くことで、「あなた個人が嫌になったからやめる」のではなく、「私(送り主)の都合で、すべての方へ一律にやめます」という**【ポリシーの表明】**になり、相手は安心して受け取ることができます。
【マナー4】「お返しも不要です」と、相手の辞退も明記する
こちらが「来年から送りません」とだけ伝えると、律儀な相手は「でも、こちらからは送るべきかしら…?」と悩んでしまいます。
「皆様からの年賀状もご遠慮いただければ幸いです」 「お心遣いによりますお返しの年賀状は、どうぞご放念ください」
このように、相手の負担を減らしてあげる配慮が大切です。
【マナー5】「今後も変わらぬお付き合いを」と未来につなげる
年賀状じまいは、関係じまいではありません。 「今後とも変わらぬお付き合いのほど、お願い申し上げます」と、関係を継続したいという意思をはっきりと示しましょう。
いつ送る?年賀状じまいの最適なタイミングと伝え方
では、その「年賀状じまい」は、いつ、どのように伝えればよいのでしょうか。
方法1:最後の年賀状で伝える(ベストタイミング)
- 時期: 11月中〜12月初旬の投函
- 理由: 相手が年賀状を購入・印刷する前に届けるためです。これが相手に対する最大の配慮であり、最も確実で丁寧な方法です。
方法2:寒中見舞いで伝える(次善策)
- 時期: 松の内(一般的に1月7日)が明けてから、立春(2月3日頃)まで
- こんな時に: 年明けに決断した場合や、相手から年賀状を頂いてしまった場合の返信として。
方法3:メールやSNS、電話で伝える
- 時期: 11月中が望ましい
- 注意点: 親しい友人にはOKですが、一斉送信は避けましょう。個別にメッセージを送るのがマナーです。
【こよみ流】そのまま使える!理由・相手別「年賀状じまい」文例集
先ほどの「マナー5カ条」を踏まえた、具体的な文例をご紹介します。 現役世代だけでなく、ビジネスや喪中など、あらゆるシチュエーションを網羅しました。
文例1:【40代・50代】ライフスタイルの変化・SNS移行を理由にする場合
私たち現役世代は、「時代の変化」や「SNSへの移行」を理由にするとスムーズです。
あけましておめでとうございます ご無沙汰しておりますが お変わりなくお過ごしでしょうか
さて この度 時代の流れや生活様式の変化を受け 本年を最後に 年賀状でのご挨拶を失礼させていただくことにいたしました これまでの心温まる交流に深く感謝申し上げます
今後はメールやLINE(SNS)を通じて近況を伺わせていただきたく存じます 今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
文例2:定年退職・還暦など「節目」を理由にする場合
「定年」「還暦」という、誰の目にも明らかな「節目」を理由にします。
あけましておめでとうございます 旧年中は大変お世話になりました
さて 私事で恐縮ですが 昨年 定年退職を迎え 人生の節目を機に 年賀状によるご挨拶を本年限りで最後とさせていただきたく存じます
皆様への年賀状も今年限りとさせていただきます 誠に勝手ではございますが ご理解いただければ幸いです 今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
文例3:終活・高齢を理由にする場合(ご両親の代筆にも)
「高齢のため」「筆をとるのが難しい」など、体力を理由にすると角が立ちません。
謹んで新春のお慶びを申し上げます 長年にわたり温かい賀状を賜り 誠にありがとうございました
さて 私も〇〇歳を迎え 寄る年波には勝てず 筆をとることが年々難しくなってまいりました つきましては 誠に勝手ながら 本年をもちまして 年賀状でのご挨拶はどなた様にも失礼させていただきたく存じます
今後は電話などでお話できれば幸いです 皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます
文例4:喪中のため、これを機にやめる場合(最強のタイミング)
身内に不幸があった年は、自然な流れで年賀状をやめる最大のチャンスでもあります。
喪中につき年頭のご挨拶を失礼させていただきます 本年〇月に(続柄)が永眠いたしました
生前のご厚情に深く感謝申し上げます また 勝手ながらこれを機に 来年以降の年賀状によるご挨拶を失礼させていただきたく存じます
皆様への年賀状もご放念いただけますと幸いです 寒さ厳しき折柄 何卒ご自愛ください
文例5:ビジネス関係・元同僚へ(ペーパーレス・SDGs)
仕事関係や、以前の職場の方へは「時代の流れ(環境配慮)」を理由にするとスマートです。
謹んで新春のお慶びを申し上げます 旧年中は公私にわたり大変お世話になりました
さて 近年のデジタル化や環境配慮(ペーパーレス)の観点から 本年をもちまして どなた様へも年賀状によるご挨拶を控えさせていただくことにいたしました
誠に勝手ではございますが 今後はメール等にて変わらぬお付き合いをお願い申し上げます 貴社の益々のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます
文例6:寒中見舞いで伝える場合
年明けに伝える場合は、まず寒中見舞いの挨拶から入るのが鉄則です。
寒中お見舞い申し上げます ご丁寧な年賀状をいただき ありがとうございました 皆様におかれましては お変わりなくお過ごしのこととお慶び申し上げます
さて 私事で恐縮ですが 本年をもちまして 年賀状でのご挨拶を最後とさせていただくことにいたしました
今後はメールなどで近況をお伝えできればと存じます 寒さ厳しき折柄 何卒ご自愛ください
文例7:友人向け(柔らかめ)
親しい友人には、堅苦しくなりすぎないよう、素直な言葉で伝えます。
Happy New Year! 元気にしてる?
実は今年で年賀状を卒業して、今後はLINEやSNSでのやり取りに一本化しようと思っています。 これからは、もっと気軽に連絡を取り合えたら嬉しいな。
今年も〇〇ちゃんにとって素敵な一年になりますように!
年賀状じまい「後」のつながりを大切に(Q&A)
Q. 何も言わずにやめる(自然消滅)は、やっぱりダメ?
相手が「届かなかったな、何かあったのかな?」と心配する可能性があります。また、相手はずっと出し続けてしまうかもしれません。お互いのために、一言伝えるのが大人のマナーです。
Q. 年賀状じまいの「お知らせ」を受け取ったら?返事は必要?
基本的には「了解しました」という意味で、返信は不要です。もし寂しく感じるなら、寒中見舞いやLINEなどで「今までありがとう、これからもよろしく」と伝えると素敵ですね。
Q. やめた後に後悔したら?再開はできる?
もちろん再開できます! 「ご無沙汰しております。子供が生まれたのを機に、また年賀状を書きたくなりました」など、ポジティブな理由を添えれば、相手も喜んで受け入れてくれるはずです。一度やめたからといって、永遠に出してはいけない決まりはありません。柔軟に考えて大丈夫ですよ。
まとめ:年賀状じまいは「人間関係を軽くする整理術」
年賀状じまいは、決して冷たい行為ではありません。
- 大切な関係を守るため
- 限られた時間とお金を有効に使うため
- そして、自分の暮らしを少し楽にするため
そんな前向きな選択です。 「やめたい」と思った今が、見直しのタイミング。
無理せず、失礼なく、あなたのペースで整理していきましょう。









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