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会社員でも確定申告は必要?「私には関係ない」が一番キケン!FPこよみが教えるソンしない分岐点

「確定申告って、自営業やフリーランスの人がやるものでしょう?」

会社にお勤めの方なら、きっとそう思いますよね。年末調整の書類も会社に提出したし、自分の税金は会社が全部やってくれているから大丈夫、と。

はじめまして。金融機関で働くファイナンシャル・プランナー(FP)のこよみです。実は、FPとして多くのお客様のお金のご相談に乗っていると、「あぁ、もったいない!」と感じる場面に毎年たくさん出会います。

それは、会社員の方でも、年末調整だけではカバーできないケースが、実は思っているよりずっと多いということです。

知らずに「申告すれば戻ってきたはずのお金」をそのままにしていたり、逆に「申告が必要なのに気づかない」状態だったり……。

この記事は、そんな「確定申告は自分に関係ない」と思っている会社員の方にこそ読んでほしい、確定申告シリーズの導入編です。

  • 会社員も確定申告が必要になるのは、どんなとき?
  • 申告したほうが“ソンしない”ケース
  • 会社員が一番まちがえやすい「落とし穴」

これらを、FPとしての視点と、暮らしの「なぜ?」を探求する生活者としての実感もまじえて、てねいにお伝えしますね。

目次

結論:「会社員こそ確定申告」が新常識。知らないと“損”をしているかも?

先に結論をお伝えすると、会社員でも確定申告が必要なケースは、増加傾向にあります。

なぜなら、働き方や資産運用の形が、昔と比べて大きく変わってきたからです。フリマアプリやネットでの副業、ふるさと納税、NISAやiDeCo以外の投資(株式や仮想通貨など)……。

私たちの暮らしが多様になった分、会社の「年末調整」だけでは対応しきれない部分が増えているのです。

私は仕事柄、金融機関でさまざまなお客様のライフプランを見てきましたが、この「年末調整への万能感(会社が全部やってくれるはず)」が、会社員の方にとって一番の“つまずきポイント”だと感じています。

まずは、その「年末調整」と「確定申告」の“役割の違い”から見ていきましょう。

そもそも「年末調整」と「確定申告」は別モノです

まず知っておきたいのは、「年末調整=すべての税金計算をしてくれる手続きではない」ということです。

それぞれの役割をカンタンに説明しますね。

  • 年末調整とは?会社が、あなたに払った「お給料(給与所得)」にかかる税金だけを計算し、調整(年末に清算)してくれる手続きです。
  • 確定申告とは?お給料「以外」の所得があったり、年末調整では使えない「控除(税金の割引)」を使ったりするときに、自分で税務署に「わたしの1年間の所得と税金は、正しくはこうです」と申告する手続きです。

「年末調整すれば全部終わり」というのは、多くの会社員が抱えている“誤解”なんですね。

この誤解のせいで、大きく2つの「ソン」が起きています。

  1. “取り戻せるソン”:申ゴすれば税金が戻ってくる(還付)のに、やらない。
  2. “ペナルティのソン”:申告する義務があるのに知らずに放置し、後でペナルティ(追加の税金)を課される。

では、具体的にどんなケースがあるのでしょうか。「ソン」のタイプ別に分けて、分かりやすく見ていきましょう。

【一覧】あなたはどれ?会社員が確定申告すべきケース

ここからは、会社員の方が確定申告と関わる主なケースを、2つのタイプに分けてご紹介します。ご自身やご家族にあてはまるものがないか、チェックしてみてくださいね。

タイプ目的主なケース申告しないとどうなる?
① 申告すると“得する”払いすぎた税金を取り戻す(還付申告)・医療費控除
・ふるさと納税(ワンストップ忘れ)
・住宅ローン控除(1年目)
・株や投資信託の損失繰越
ソンする。
(税金は戻ってこない)
② 申告“しないとマズイ”不足している税金を納める(義務)・副業所得が20万円超
・2か所以上から給与
・給与収入が2,000万円超
・株の利益(特定口座・源泉なし)
ペナルティ。
(追加の税金が発生)

タイプ①:申告すると“お金が戻る”かもしれないケース(還付申告)

こちらは「義務」ではありませんが、「やらないとソン」なケースです。確定申告とは「節税」よりも“払いすぎた税金を取り返す作業”であるとお伝えした通り、まさにこれです!

1. 医療費が一定額を超えた(医療費控除)

家族全員の医療費が1年間で多くかかったとき、一定額を超えた分が税金の計算から差し引かれます(控除されます)。

ここで一番多い誤解が、「10万円超えないとダメなんでしょう?」というもの。

これはFPとしてぜひお伝えしたいのですが、たしかに原則10万円ですが、所得が200万円以下(※給与収入だけなら年収約311万円以下)の方は、10万円以下でも控除の対象になります(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき」)。市販の風邪薬や、通院のための交通費(タクシー代など)も対象になることがあるので、レシートは取っておきましょう。

2. ふるさと納税でワンストップを使わなかった(寄付金控除)

「ワンストップ特例制度」の申請書を出し忘れた、または申請が間に合わなかった(翌年1月10日必着)場合。

また、そもそも「6自治体以上」に寄付した方は、ワンストップ特例が使えないため、確定申告が「必須」になります(出典:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」など)。

3. 住宅ローン控除の“初年度”

住宅ローン控除(減税)を受ける最初の年だけは、会社員でも確定申告が必要です。

2年目以降は会社の年末調整でできるのですが、この「初年度だけ」というのが忘れやすいポイント。マイホームを買った翌年は、必ず思い出してくださいね。

4. 株・投資信託で“損”が出た

「特定口座(源泉徴収あり)」で取引していても、もし“損”が出た年に申告(損益通算・繰越控除)しておけば、翌年以降3年間の利益と相殺して、税金を安くできます(出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)。

これは投資初心者が本当に見逃しがちな「知らないと損」ポイント。「損した年は関係ない」は大きな誤解です。

タイプ②:申告する“義務”があるケース

こちらは「やらないとマズイ」ケース。知らなかったでは済まされず、後でペナルティ(追徴課税)が発生する可能性があるので、しっかり確認しましょう。

5. 副業の「所得」が20万円を超えた

会社員が、給与以外の副業(例:ライター、ウーバーイーツ、ネットショップ、フリマアプリ(生活用品以外))で得た「所得」が年間20万円を超えた場合、申告の義務があります(出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。

※ここが重要!「収入(売上)」ではなく「所得(=収入−経費)」です。

ただし、“20万円以下なら申告不要”は誤解になりやすいので、次の「落とし穴」の章で詳しく解説します。

6. 2か所以上から給与をもらっている

転職した年(前職の源泉徴収票を今の会社に出しそびれた)、または本業の会社+アルバイトや派遣を掛け持ちしている場合など。

年末調整されなかった2社目以降の「給与収入」と、それ以外の所得(副業など)の合計が20万円を超える場合、申告が必要です(出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。条件次第で申告が必要というのはこのことです。転職した年は特に注意ですね。

7. 給与の「収入」が2,000万円を超えている

そもそも、お給料の「収入」が年間2,000万円を超える方は、年末調整の「対象外」となります。ご自身で必ず確定申告が必要です(出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。

8. 株・投資信託で利益が出た(特定口座・源泉“なし”等)

「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば、利益が出たときに税金が自動で引かれるので、原則、申告は不要です。

しかし、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」を選んでいる場合、利益が出たら自分で申告して税金を納める必要があります。

9. その他(不動産・配当など)

アパート経営などの不動産収入がある場合や、配当金で「配当控除」という有利な制度を使いたい場合も申告が必要です。

FPこよみが解説!会社員が一番つまずく「3つの落とし穴」

ここがこの記事で一番お伝えしたいことです。FPとして、また金融機関の窓口で「暮らしのお金」のご相談を受ける中で、会社員の方が本当につまずきやすい「誤解」を3つに絞りました。

落とし穴①:「副業20万円以下なら申告不要」のウソ

「副業の所得が20万円以下なら、税金は何も申告しなくていい」

これは、半分ホントで、半分ウソです。

「20万円以下なら申告不要」というのは、正しくは「“所得税(国の税金)”の確定申告は不要」というルールです。

問題は「住民税(お住まいの市区町村の税金)」です。 住民税には、この「20万円ルール」がありません。

確定申告をしないと、市区町村はあなたの副業所得を把握できません。そのため、たとえ1万円でも所得があれば、別途「住民税の申告」を役所にする必要があるのです。

会社にバレるのは、この「住民税」が原因というのは、まさにこの点です。

「住民税の申告」をしないでいると、後で役所から通知が来ますし、その住民税の計算が会社経由(特別徴収)になってしまうと、会社の給与担当者が「あれ?この人、給与の割に住民税が(副業分)高いぞ?」と気づくキッカケになってしまいます。

では、どうすればいいのでしょうか?

FPこよみからのアドバイスは、以下の対応です。

  1. 副業所得が20万円以下でも、あえて「確定申告」をする(※これで住民税の申告も兼ねられます)。
  2. その際、申告書の第二表にある「住民税に関する事項」で、「自分で納付(=普通徴収)」に必ずチェックを入れる。

これをしておけば、副業分の住民税の通知は会社(特別徴主)ではなく、あなたの自宅に直接届くようになります。

確定申告(と普通徴収の選択)は、副業がバレるのを防ぐための「お守り」にもなるのです。

落とし穴②:「医療費10万円」の思い込み

くり返しになりますが、「医療費控除は10万円から」という思い込みで、レシートを捨てるのは待ってください。

所得200万円以下なら、「所得の5%」が基準になります。

例えば、給与収入250万円(所得控除後の所得が167万円)の方なら、167万円 × 5% = 83,500円 を超えれば医療費控除が使えます(出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき」)。

ご自身の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」をチェックしてみてください。意外とハードルは低いかもしれませんよ。

落とし穴③:「申告しないと、すぐペナルティ?」という不安

申告する義務があるのに故意に放置するのは絶対ダメですが、うっかり忘れた、遅れた、という場合にパニックになる必要はありません。

たしかに、申告義務を放置するとペナルティがあります。「無申告加算税」(本来の税額の15%〜、悪質だと30%増し) 1 や「延滞税」(利息のようなもの) 1 が課されます。

でも、ここが大切です。もし「あ!忘れてた!」と気づいたら、**税務署から指摘される前に、自分から申告(期限後申告)**してください。

自主的に申告すれば、「無申告加算税」が**5%**にまで大幅に軽減される措置があります(出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」など)。

怖いのはペナルティそのものより、「どうしよう」と不安なまま放置してしまうこと。気づいた時にすぐ行動すれば、ダメージは最小限で済みます。

まとめ:確定申告は「自分のお金を守る」ための手続きです

「確定申告」と聞くと、「面倒そう」「難しそう」「税金を取られる」…そんなイメージが、少しは変わりましたか?

でも実は、自分が払いすぎた税金を“取り戻す”ための味方であり、自分の所得を正しく申告して“自分を守る”ための手続きです。

会社員でも、暮らし方が多様化すれば、お金の動きも複雑になります。「会社が全部やってくれる」時代から、「自分のことは自分でひと手間かける」時代へ。

どうか、気負わずに。あなたの生活を守るための小さな一歩として、今年は確定申告を味方につけてみませんか。

次回からは、「医療費控除」「ふるさと納税」など、具体的なケースについて、もっと詳しく解説していきますね。

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このブログを運営している人

はじめまして、こよみです。
料理や掃除、季節の行事から人間関係の小さなコツまで、暮らしにまつわる疑問を探求し、試行錯誤を重ねるでのが私のライフワークです。
モットーは、『どんな小さな疑問も、暮らしを豊かにするヒントになる!』

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